ブロックチェーンの基礎:暗号通貨ウォレット
暗号通貨を長く利用していて、最近の動向に注意を払っている人なら「自分の鍵じゃなければ自分の資産ではない (Not your keys, not your coins)」という言葉を聞いたことがあるはずです。
現実には、暗号の所有は10年前よりも大幅に容易になっており、クレジットカードさえあれば誰でも数分でビットコインを手に入れることができます。しかし、これは一般ユーザーの暗号通貨ウォレットの複雑な仕組みに対する認識が不足していることも意味しています。この記事では、ウォレットについて、利用可能な様々なオプションの利点とリスクに焦点をあてたいと思います。

暗号通貨ウォレットとは
暗号通貨ウォレットを使用すると、ビットコインのようなデジタル通貨 (暗号通貨) を所有することができます。暗号通貨ウォレットというと、ソフトウェアや企業が提供するオンラインサービス、特殊なUSBドライブを思い浮かべることが多いですが、紙切れのようなシンプルなものでもウォレットとして利用できます!
実は、暗号通貨ウォレットは暗号通貨そのものを保管しているわけではなく、ウォレットに紐付けられた暗号通貨をブロックチェーン上で操作するための秘密鍵を保持しているのです。
大半のウォレットでは、秘密鍵と公開鍵の保持という最も基本的な機能以外に、複数のアドレスを生成したりトランザクションを送信したりすることができます。
ウォレットアドレスとは
ウォレットアドレスは公開鍵で、IBAN番号のようなものだといえます。ウォレットアドレスはウォレットが生成するユニークな文字列で、暗号通貨の送信先アドレスとして利用します。
銀行口座の取引履歴が非公開にされているのとは異なり、ほとんどのブロックチェーンの履歴は完全に公開されています。つまり、誰でも任意のウォレットアドレスの取引履歴を調べることができるのです。
秘密鍵とは
詳細は省きますが、秘密鍵 (PK) とはウォレットが生成する秘密の文字列で、ウォレットアドレス (公開鍵) を生成するために使用されます。
秘密鍵は、銀行口座のパスワードのようなものだと考えることができます。あなたが利用しているウォレットの種類に関わらず、あなたの秘密鍵を管理する人は、アドレス内のすべてのコインを管理することができるのです。
秘密鍵は非常に機密性が高いため、多くのウォレットではアドレスから秘密鍵を安全に暗号化するために使用されるウォレットパスワードを設定する必要があります。この2つを混同してはいけません。
カストディアルウォレットとノンカストディアルウォレット
ブロックチェーンにおいて秘密鍵が果たす重要性を把握したところで、カストディアルウォレットとノンカストディアルウォレットの根本的な違いを確認しましょう。カストディアルウォレットでは秘密鍵は第三者が保持し、ノンカストディアルウォレットでは秘密鍵はウォレット保有者自身が保持します。
秘密鍵の所有者が資金を実質的に管理できるため、カストディアルウォレットプロバイダーは銀行と、ノンカストディアルウォレットは実際にお金を入れて自分で管理できるポーチと、考えることができます。
カストディアルウォレットとノンカストディアルウォレットのリスクとメリット
最も一般的なカストディアルウォレットプロバイダーは暗号通貨取引所ですが、ステーキングプラットフォームや一部の銀行、Paypalといった決済サービスなど、多くのオンラインサービスでも提供されています。
カストディアルウォレットで暗号通貨を保有することにリスクが伴うのは明らかです。実は、保有されている資産はあなたのものではなく、ウォレットプロバイダーの資産なのです。「自分の鍵じゃなければ自分の資産ではない (Not your keys, not your coins)」という言葉はここから来ており、取引所が倒産したり、出金を停止したプラットフォームがニュースになるたびに、何度も何度も声高に繰り返されてきました。
現実に万が一のことがあっても、あなたは全くの無力です。苦労して稼いだお金は危険にさらされます。
カストディアルウォレットは、自分のお金を自分で管理する分散型通貨の本来のビジョンに反していますが、それでも非常に魅力的なものです。特に初心者にとっては、直感的なインターフェースと統合されたサービスによって、暗号通貨の購入、取引、ステーキングが非常に簡単に行えるというメリットがあります。最近の暗号通貨の普及は、こうしたカストディアルウォレットプロバイダーのおかげでもあるのです。
さらに、これらの企業は一般人が行うよりも多くのリソースをウォレットの最先端セキュリティに投入しています。そのため、ハッカーにとっては、ウォレットプロバイダーをハッキングするよりも、ソーシャルエンジニアリングによってユーザー自身を攻撃する方が簡単なのです。
カストディアルウォレットについてはこれくらいにして、1つお訊きします。最後にコンピュータにマルウェアが侵入したのはいつですか?最後にデータのバックアップを取ったのはいつですか?洪水や火災などの非常事態に備えて十分な備えをしていますか?
こうしたことは「自分の銀行であること」や「自分のお金に責任を持つこと」にとって真の悪夢であるといえるでしょう。悲しい現実として、一般人には自分の家族の写真をきちんと管理することすらできず、ましてや人生を通じて貯金をすべて入れることができるような最新技術の管理は難しいのです。
とはいえ、ウォレットのセキュリティを最大限に確保するために自分を律するという大仕事をやり遂げられるなら、ノンカストディアルウォレットを利用することが間違いなく最良の選択となります。常に自分の資産をコントロールすることができ、出金停止という恐ろしいニュースで目を覚ますこともなくなります。
インターネットにはどちらのウォレットにも影響するコインの紛失原因 (マルウェア、オンライン詐欺、フィッシングサイト、ブラウザ拡張機能の汚染など) があふれており、最終的にどちらを選択するにしても、常に優れたセキュリティ慣行を行うことが最善策といえます。
ウォレットタイプ
ペーパーウォレット
ペーパーウォレットは、ノンカストディアルウォレットの中で最もシンプルなものでしょう。秘密鍵と公開鍵 (ウォレットアドレス) が記載されたシンプルな紙です。QRコードや文字列を書き込んだものなど様々な形式が考えられます。
ウォレットをインターネットに公開することなく入金できるため、コールドストレージとして適しています。しかし、出金するには、結局インターネットに接続されている他のタイプのウォレット (通常はソフトウェア) に秘密鍵を入力する必要があります。
紙は非常に脆いため、水や火に強い金属製のものの方がよいでしょう。同様に、オフラインで秘密鍵を保管することができるハードウェアウォレットも、コールドストレージとして最適な選択肢です。
Bitcoin Core
Bitcoin Coreはオープンソースのノンカストディアルウォレットソフトウェアであり、フルノードを実行する場合に最も人気のある手段です。フルノードはブロックチェーン全体のコピーを持っており、ネットワーク上の新しいトランザクションとブロックに関する情報を広めるために重要な働きをします。フルノードは各トランザクションがブロックチェーンのルールに従っているかどうか検証します。
ビットコインのフルノードになるには数百GBものデータをダウンロードして保持する必要がありますが、それだけの空き容量がない場合は、パージ機能付きのBitcoin Coreを使用することができます。その場合、はるかに少ない量の最新のブロック付近のデータのみを保持することになります。
取引所
ほとんどの取引所やオンラインサービスでは、カストディアルウォレットサービスを提供しています。上記のように、カストディアルウォレットには、取引やステーキングなどの多くの機能が付随しています。大量の暗号通貨を保有する予定がない場合や、頻繁に外出先で取引を行う場合には素晴らしい選択肢となるでしょう。
信頼できる取引所やウォレットプロバイダーの大半は、素晴らしいセキュリティレベルで、ユーザーが自分のアカウントを安全に保つために必要なすべてのツールを提供しています。
例えば、NiceHashでは、複数のウォレットプロバイダーを利用しており、ユーザー認証のために最先端のOTPデバイスをサポートするなど、プラットフォームのセキュリティに多くのリソースを割いています。また、パートナーであるNiceX取引所で、暗号通貨の売買や取引をシームレスに行うことができます。
ウォレット以外のオンラインの暗号通貨サービスを利用する場合は、必ず強力でユニークなパスワードでアカウントを保護し、OTPデバイスや認証アプリで2FAを設定するようにしてください。また、SMSによる2FAは可能な限り避けてください。ただし、SMSの2FAを使用することは、2FAをまったく使用しないよりはましでしょう。
ビットコインライトニングネットワークウォレット (補足)
ビットコインウォレットには、ライトニングネットワークウォレットという特殊なものもあります。別の記事では、レイヤー2を利用してほぼ即時に低コストでのビットコイン取引を可能にする手段を解説しています。
幸いなことに、NiceHashアカウントがあればライトニングネットワークを利用することができます。南アフリカを始めとした国では、すでにこの新興技術を使って数多くの店舗で食料品などの購入時にビットコインで支払うことができます。エルサルバドルへの旅行では、YouTuberのCreffieがこのシームレスな決済手段をアピールしていました。
まとめ
要約すると、人生の多くの事柄と同様に、暗号通貨のウォレットを選ぶことは簡単な作業ではなく、多くの場合、いくつかの妥協が必要になります。
個人的には、日々の取引には、マルチプラットフォームとマルチコインをサポートしている評判の良いカストディアルウォレットの利用をおすすめします。資金を長期保管する場合は、秘密鍵を記録できるハードウェアウォレットや金属板の使用をおすすめします。
両方を組み合わせることで日常的に暗号通貨を使用できる上に、カストディアルウォレットに何かあった場合でも、ポートフォリオの大部分を失う危険を回避することができます。