ゼロ知識証明 (Zero-Knowledge Proof / ZK) とは
最近、暗号通貨マイニング業界で新しいバズワードとして注目されているのが、ゼロ知識証明 (Zero-Knowledge Proof / ZK) コインです。
ゼロ知識証明とはどういったもので、多くの人が話題にしているのはなぜなのでしょうか。何事もそうですが、解決策を理解する前に、まずは問題を理解する必要があります。
ゼロ知識証明が解決しようとしている問題とは
ゼロ知識証明は、様々な領域でプライバシーやセキュリティに関連する次のような問題を解決します:
- 認証と本人確認:ゼロ知識証明を使用することで、個人情報を明かすことなく身元を証明することができます。例えば、正確な生年月日を明かすことなく、自分が18歳以上であることを証明することができます。
- データの秘匿:ゼロ知識証明を使用することで、医療記録や金融取引などの機密データや実際のデータを、それ自体を明らかにすることなく検証するができます。これにより、プライバシーを守りながら安全にデータを共有・分析することができます。
- ブロックチェーン技術:ゼロ知識証明を利用して、詳細を明らかにすることなく取引を検証するブロックチェーンがあります。これは、ブロックチェーン上の取引の機密性とプライバシーを確保するのに役立ちます。
- サイバーセキュリティ:ゼロ知識証明は、パスワードやその他の機密情報を明かすことなくユーザー認証をすることができます。これにより、個人情報の盗難やその他のサイバー犯罪を防ぐことができます。
ゼロ知識証明とは
ゼロ知識証明は、ある命題が真であることを、その命題の真偽以外の情報を一切明かすことなく、証明者が検証者に対して証明することができる暗号化手法です。言い換えれば、証明者は自分が何を知っているかを実際に明かすことなく、検証者に知っていると確信させることができる手法です。これは、複雑な暗号化アルゴリズムを使用して、証明自体に関するいかなる情報も明らかにすることなく検証可能な証明を作成することで実現されます。ゼロ知識証明は、オンライン取引や身元確認といったプライバシーが重要視される場面や、機密情報を保護する必要があるアプリケーションで有用といえます。
ゼロ知識証明の3要件
- 完全性:証明者と検証者はともに、プロトコルを遵守しなければなりません。
- 健全性:証明者が誠実ではなく秘密に関する知識もない場合は、証明者が秘密に関する知識を持っていると検証者を欺ける可能性は非常に低いです。
- ゼロ知識性:証明者 (Bob) が検証者 (Alice) に対して、ある秘密の知識を持っていることを証明しても、Bobが秘密に関する知識を持っているとAliceを納得させるだけで、証明の真偽を部外者が確認する手段はありません。
アリババの洞窟
アリババの洞窟の話は、ゼロ知識証明の例としてよく使われます。この例ではボブが洞窟に入ります。この洞窟は入り口から少し入った場所が三叉路になっていて、入り口に繋がる通路以外の2つの通路は内部でつながっていて、円環状になっています。また、円環の三叉路の反対側に扉があります。アリスは洞窟の外にいて、2人ともその扉を開けるためのコードを知っているとします。このような状況で、ボブがコードを知っていることを、アリスに対してコード自体を示すことなく証明する場合を考えます。
ボブは三叉路で左側の通路を進み、円環状の通路の反対側にある扉まで行きます。一方のアリスは洞窟の入口で待ちつつ、ボブに対して通路の右側から戻ってくるように頼むとします。ボブがうまく扉を開けて右側から戻ってきたら、彼はコードを知っているはずです。ここで重要なのは、アリスはボブが最初に右側の通路を進んだのか左側の通路を進んだのか知らないという点です。
このようにして、ボブがどちらかの通路に入り、アリスがボブに戻ってくる時に使う通路を指定して、ボブがどちらかの通路を使って戻ってくる、ということを何度も繰り返して、ボブが常に洞窟の正しい通路から戻ってくるなら、アリスはボブのコードを見ることなく、ボブが秘密のコードを知っていると確信することができます。
このようにしてアリババの洞窟の例では、ゼロ知識証明を使うことで機密情報を明らかにすることなく、主張を検証することができます。

ゼロ知識証明が解決する実用的な問題
例として、スマートコントラクトの公開を挙げられます。スマートコントラクトは公開ブロックチェーン上に書き込まれ、誰でも見ることができます。スマートコントラクトには、例えば「この条件が満たされたらロックされた資金をユーザーに解放する」といった条件を書き込むことができます。現在は、こうした条件をブロックチェーンエクスプローラーから誰でも見ることができます。
ゼロ知識証明では、一方の当事者がスマートコントラクトやそのスマートコントラクトでの条件について、他の情報を一切明かすことなく、条件が満たされたことを示すことができます。
別の使用例としては、暗号通貨取引所の準備高を証明する場合が考えられます。取引所はコールドストレージに使用しているウォレットの公開鍵に関する情報を、公開したがらないかもしれません。しかしゼロ知識証明を使用することで、他の情報を開示することなく、準備高について検証者が確認することができます。これにより検証者は、取引所が確かに準備高を保有していることを確信することができます。